人の気があるから
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「またまちごうたみたい」頭をかきながらおっちゃんは言う。「へろへろやさかい、勘違いしてもたわぁ。ごめんなぁ、ぎょうさん歩かせてもて」「また間違うてもた?」先行隊からそう言われて、またもや縮こまるおっちゃん。
「卑弥呼、邪馬台国、四国神山説というのも有るんやなぁ。山の燈台なんて、すごいもん作るなぁ」とへたりこむ。邪馬台国が何処にあったかなんて、今だ確定していない事実なのだ。今世の中を騒がせている学説なんて、何十年何百年先「あぁあの人が言ってた事で、これだけ世の中、進化したんだ」と言われるもん。
「雨乞いをするためだけにここまで登ってきたん。むかしの人はすごいわぁ」とおっちゃんは言う。それに興味を持ち、観に山を登ってくる人たちもすごい。滝にはひっきりなしに人が来る。恒例川沿いサイクリング第4弾・鮎喰川サイクリングの途中、名前に惹かれてやって来た「雨乞いの滝」。美しい滝を何本もみながら急坂を登り、一番高い二本の滝をみながら昼ごはん。神山の道の駅で買ったお赤飯は美味しかった。
「体力余ってるから、この悲願寺に行ってみよか」
1.1キロ先と看板にはある。雨乞いの滝音を左に聴きながら、山アジサイの花が咲いている崖を軽快に登って行ったおっちゃん。この時点では喜楽なハイキングだった。
「空に向かって歩いてるみたいやなぁ。空はまだまだ先や、まだやろか」先発隊として健脚の安江隊は先に登る。「鹿を撃ちに行ってるだけあるなぁ、もう気配すらせん」空の向こう側行ってますわぁ。そりゃそうである、マタギなのだから、斜面
をイモリのように登って行く。
それにしても急坂である。「1キロってこんなに遠いん?」とおっちゃん。今までのサイクリングでも、たいへんな坂を登ってきたけど、こんな弱音を聴くのははじめてだ。「みんなと一緒じゃなかったら、もう引き返してるわ。サイクリングと登山は違うわ」と。
「だから悲願のお寺さんなんや」とやっとの思いで到着。「ここまで登って来たんやからなんかお願いしょ、あぁもう自転車乗られへんわぁ」それでおっちゃん、お願いおわりやでぇ。お願いはひとつだけと世の中決まってる。だってこれからも自転車乗せてくださいとちゃううん。
やっとのおもいで「高根の観音さん」と呼ばる悲願寺にお願いして、まだまだサイクリングは続くのであった。この日はこれでサイクリング終了、神山温泉ですごす。Earth
Wind & Fire「Fantasy」〜[All 'n All]を聴きながら。2014/05/25@徳島神山町の高根山悲願寺
さきそめし あじさいはまだ 色うすし みどりの山に ほほえむ観音 |
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2014年7月30日 変更
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