(C)Copyright Mac Fukuda2013




「おっちゃん、吉井川反対に流れてるで。上流に向かって走ってる」と高校生の時から自転車屋さんの常連だった、今やおっさんが叫ぶ。大きな川にはいろいろな支流が流れ込む、どれが本流かを見極める、まぁ旅は脱線してもええんやけど。「また、まちごうてもた」と自転車屋さんの親爺さんが頭をかく。


『また』とは、去年の岐阜揖斐川サイクリングでも道を間違えたおっちゃんである。70歳といってもボケているのではない。ヨコで観ているもんとしては、これがそれで楽しい雰囲気なのだが。ぼくらおっさんに対して本人は申し訳なく気にしてるのが、かわいい。ひとつ曲がり角、ひとつ間違えてなんて人生ではよくあることで。


 川を行く第三弾は岡山吉井川。一昨年は四国四万十川、そして岐阜揖斐川。サイクリングするのに道を思案する人がいるが、川を登ったりくだったりするのは、いいサイクリングコースに成る。今回は片上鉄道の廃線跡、レール道がきれいに自転車道に整備された道を走る。


 山裾沿いを走る片上鉄道の旧線路だから、景色がいいのである。自動車道より高く、建造物があまり目に入らず、ええ感じで走れる。硫化鉄鉱を積んだ貨物列車をひいた蒸気機関車がここを走っていたと想像するだけでワクワクする。それはもう絵になったことだろう。棚原ふれあい鉱山公園では昭和40年代の車輌が動態保存されており、月に一度走行会もある。


  そう今この時点であぁすごいなぁと思う一瞬も、数年経てばもう観られない光景かもしれないのだ。だから私は写真を撮る、そんな簡単なことが解らないのが人間でもある。1995年の地震のときも2011年の地震でも、そして今回の台風でも、見なれていた光景はすぐになくなるのだ。


「こんにちは」山裾から流れ出る湧き水に脚をひたしている子どもが声をかけてくれる。「おっちゃんもつかり、冷たいでぇ」聴くと町からこの湧き水を見に自転車乗って来たという。子どものころは、こんな自分だけの秘密の場所があるもんだ。


  サイクリングは山登りと同じで行き交う者同士が、挨拶をする習慣がある。まぁ山でいきなり人に出会い、無言で立ち去られたら、ちょっとコワい。そんなもんである。写真を撮っていても「おっちゃん、どこから来たの」と自転車の小学生に聴かれた。


「あっちからこの道みたら、綺麗」と言われた。だが『あっち』というのは吉井川の対岸なのだ。


  彼女はクルマでそこを通りながらいつもこの自転車道を観てるらしい。でもなぁ、橋がないもんなぁ。残念やわぁと別れたが、ちょっとせつなく。「今日は川が台風で綺麗じゃないからね」となぐさめもしてくれた子ども。アッチから観てみたいもんだと。岩崎良美「迷い道」〜『The Reborn Songs シクラメン』を聴きながら。2013.9.16@備前片鉄ロマン街道

ここを鉄道が通 っていた。いまでは近所の子どもか、走っているのがまたいい。鉱石輸送廃止後、1991(平成3年)年6月に72年間にわたる鉄道の歴史に幕を下ろした「片鉄ロマン街道」2003年岡山県道703号備前柵原自転車道線として開通 。

今年も子どもとともに歳時記2013年
「父の無念をはらしたい」@アスベストの会10.14
>「あっちからこの道みたら」@備前片鉄ロマン街道9.16
「名を名乗れたたき切ってやる」@備前長船刀剣博物館9.15
「大団円」@特別 急行ちどり号、三次発9.1
「よろこびを人にあたえてこそ」@自然の森M.G.ユース8.31
「大和はわるうぅないんです」@大和ミュージアム8.30

のみ水だけでしあわせ」@あの日におもう8.6
イルカがいるか?」@須磨海岸7.21
お酒が先生とちゃう」@Pubランボー2周年7.19
わかってくれるかぁ」@先輩のアトリエ7.5
ファンは素敵だ」@大和選手さよなら打6.29
大丈夫、球場でもいこか」@神戸の広島球場6.3
すごいなぁ」 @甲子園球場5.26
日本一のZeiss」@日本一の天象儀5.15
子どもも大人も腹はへる」@御影だんじり5.35.3
あぁ満開、びわ桜」@海津大崎の桜舟4.14
桜は今日が一番ですわ」@津山城の満開桜4.5
おおきなお山が三つ」@播州三ツ山大祭4.4
すごすぎ Great 」@LJライブ4.12
Solo Guitar Tribute to the Beatles
花は咲く」@満開の梅3.11
開かれた狭き門」@ライブKobeTORROAD3.9
同じとおもうおろかさ」@春節祭2.10春節
夢で遇えたら」@そして神戸18年1.17
夢のでら特急」@リニア鉄道館1.4
男は祭りやねぇ」@妙法寺追儺式1.3新年



子どもとともに良き日に。

歳時記リスト 2012年  歳時記リスト 2011年
歳時記リスト2010年
  歳時記リスト2009年
トップページへ

本ホームページに掲載の文章・画像・写 真等すべてのコンテンツの
無断複写・転載を禁じます。ご感想などはメールにて。
2013年11月2日 変更
134+62+51ベンガラ色
©Mac Fukuda1997