TORROADは神戸に住む人なら誰もが、一目おくストリート。子どものころ一緒に遊んでいた子がこの通りにある外国人学校に入学したものだから、その子についてうろちょろしていたこともある。そのときから変な名前だなぁと。隣の南北に走る道は「鯉川筋」なのに日本名がない。


　 トアホテルが坂を上ったさきにあったからトアロード、と言われている。いや、鳥居のTORIからその名がついたとも。確かに神戸は意外なことに鳥居が目立つ。六甲の山並みがまじかにせまったところ、今では外国人倶楽部がある。そのななめ前に親父の会社の社宅があった。ふとしたことからトアホテルの古い絵はがきをみたら、なんとやたらと門柱が建っている。


　 このホテル、ドイツ人が神戸に来る外国人のために建てたホテル。ドイツでは門はTORである。サッカーのゴールである。このトアロードから西に1キロほど行った平家の地ともいえる「平野」に祥福寺という禅寺がある。臨済宗の美しく立派なお寺さんでとなりは五宮神社。このお寺で驚くのが、門柱だらけのモダンな入り口なのである。フランスから贈られたと明記されてる。


　 門柱を美しく配してあるのだ。日本にはない感覚なんだぁと。「新しもん好き」とよく私も言われるが、新しいモノを好んで取り入れる気風が神戸にはある。和風と洋風が、食べ物から道の名前にまでうまく取り入られているのが住んでる人にとってはここち良い。


　 子どもの頃「中国餃子は焼かないよ、あれは日本餃子」と水餃子を一緒に食べた華僑の友人は、今では美味しそうに焼き餃子を食べていて、その話しをすると餃子は中国のもんでしょう、と笑いながら言う。そしてで「おいしければ、それでいいのだ」とふたり笑う。神戸には和風な中国カレーなる美味しいカレーもある。


　 TORROADにあるNHKのライブホールで息子がお世話になっている音楽仲間のひとたちのコンサートがあった。CROSSROAD@TORROAD.音楽はどんな気持ちのときもいやしてくれる。阪神大震災の「どん底」だった時、壊れ果てた町で聴いたバイオリンの泣きじゃくるような演奏。ふぅぅっと身体が軽く楽になる。音が楽にしてくれるから音楽なのだ。楽しい演奏会でした、ありがとう。Jesse Cook『Tempest』を聴きながら2013.3.9＠KOBETORROAD,TORSTA