「好きな絵を描く。それをほめる人がいる。そしたら世の中あかるくなるよ、元気がでる」。君も絵を描けとすすめてくださる。「それ息子にでも観てもらえよ。子ども喜ぶし、しあわせな気分になるで、絵本創ってたんやろ」とボクをはげます絵描きの先輩がいる。


「自分の絵をわかってもらおうなんて、あんまりおもってへんねんでぇ。だけどなぁわかってもらえたらホンマうれしいぃんよ」先輩とは一緒にグラフィックデザインの仕事をし、いろいろなことを教えていただいた。いちからモノを創りあげるきびしさと、なにかを伝えるおもいを。


「近代アートって、それって？？？なにを伝えたいの？っておもわへん。そんなんが芸術だって高い値段で売れたりするから、学生は勘違いしよるんよ。ゴミ集めただけ、たんに情報を集めましたみたいなモノ。」感動しませんよねぇ、ゴミ集めてエコを訴えるなんて短絡思考もねぇ。次のコマが読めないと。


　手っ取り早く金のために芸術を創ってるんとちゃいますし。それはゴミかもしれないけど、昇華させた何かがないと人は感動しませんよ。まぁ生み出されるもの全てエントロピーの法則ならゴミですし。エコのためにエネルギー使うくらいなら、ゴミのまま置いておいて、新たなものを人のためにそのエネルギーでつくり出すくらいのパンチがないと。


「イラストひとつ描くのも、文章ひとつ創るのも、才能はいらんやん。伝えたいというパッションだけ。その情熱に今の人は関心をもたん」だから人まねしたり寄せ集めてアートです、みたいなこと平気で言うんです。「一度売れたら、その線でずっと行く。そんな成長せん人間もおらんやろ」恥ずかしないんですかねぇ、三番煎じみたいなのが。


「でもなぁあんまり言うと、売れへん画家の遠吠えって言われるんやけどなぁ」厳しい世の中です、そんななかで素手一本でボクら生きとるんですから、凄いことです。


　 スクエア100号x2点という畳4枚ほどの大作の絵を描いている先輩に陣中お見舞いとして、フランスパンを抱えてたずねたアトリエ。大作を前にいろいろと教えてくださる。ボクはズバズバと平気なことを言うのにも、怒らずに後輩をおちょくってくださる。


「ビゴのおいしいパンだけをおみあげに遊びに来たかとおもてたら、ええこと言うてくれるなぁ。ほんまうれしいわぁ、解ってくれるかぁ、この絵。ありがとうなぁ」すこしはボクのことを認めてもらえたようで嬉しかったのはボクの方です。ありがとうございました。作品できあがるのを楽しみに待ってます。
Vladimir Ashkenazy「Mussorgsky:展覧会の絵」を聴きながら。2013.7.5＠大阪