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 子どものころから山やまを駆け回り遊んでいた。今でも山に登るが、あるとき不注意にも足を踏み外しすこし転んでしまった。怪我もなく、また山登りを続けたのだが。その日はあいにく単独行だった。北海道大雪山の9月は暑くもなく、かえって日陰などは肌寒いので水のことなど頭にはなかった。


  今年の紅葉はきれいだなぁと山頂でおもって、さぁ水でも飲んでひといきついて、とおもったら。ザックの横のポケットに突っ込んでいた二本のペットボトルの水が無い。


  やってしもた。転がったあの時に落としてしまったのだ。あぁバカな事をしたもんだ、いつもは水筒をザックのなかに入れているのにと悔やみだす。1日の山登りなので、降りて行けばと気持ちを切り替えても、人とはバカなもんだ。くよくよして、沢の水を飲みたくもなる。北海道の山の水はキタキツネが水を飲んでるとエキノコックスに感染する。がまんする。水のことが気になると、せっかくの紅葉も目にはさえない。ほんと人の心理なんて、ばかな事にひっぱられる。


  乾きを全身に感じながら、やっとのおもいで下山。このときの一杯の水はおいしかった。甦った心地とともに、なつかしさが。夏の夕暮れ路地裏で遊んでいたら、友だちのお母さんがおぼんに氷が入った水を持って来てくれた。「おいしいぃなぁ」「そやなぁ」と。からからの喉がゆっくりと水の大切さを教えてくれた。


  お手軽に調達したペットボトルの水。無造作になにも考えずザックにさして登っていた不注意と振り返らなかった事を反省しながら、そのミスを宿の主人に話した。「そのペットボトルが遭難した人の命の水になるかもしれないよ。あんただって遭難してたかもしれない。」たまたま運がよかった。「山が助けてくれた」その山をペットボトルでよごしてしもて気持ちが落ち着かんのです。「ペットボトルは何で出来てるかしってる?プラスチック、もとは石油でしょ。石油なら自然のものじゃない。ゴミだとおもうから、ゴミになる」と諭さた。


  暑い夏、いっぱいの水で人はしあわせなになれる。熱いあの夏の広島、原子爆弾の落ちたあと、人は「水、みずをくれ」と言ってさまよい歩いた、と子どもの頃よく聴かされた。おぞましい気分にさせるから撤去してしまえ、と無茶苦茶なことを言われている「膚の焼けただれた子どもの像」が脳裏をかすめる。と同時に親父の妹は学徒動員でピカにあい「水ください」と言いながらきっと死んでいったのだ、と。


  おいしい水を一杯飲ませてあげてください、と祈る日。2013.8.6 Maria Creuza「Agua De Beber」を聴きながら。写真は今年広島で開かれたお菓子博覧会で展示されていたマジパンでできた広島の平和な昭和の情景。製作は神戸風月堂さん。この夏、元町商店街のお店がおいしそうにリニューアルされた。

広島市民球場があった頃の平和公園

今年も子どもとともに歳時記2013年

「父の無念をはらしたい」@アスベストの会10.14
>「あっちからこの道みたら」@備前片鉄ロマン街道9.16
「名を名乗れたたき切ってやる」@備前長船刀剣博物館9.15
「大団円」@特別 急行ちどり号、三次発9.1
「よろこびを人にあたえてこそ」@自然の森M.G.ユース8.31
「大和はわるうぅないんです」@大和ミュージアム8.30

のみ水だけでしあわせ」@あの日におもう8.6
イルカがいるか?」@須磨海岸7.21
お酒が先生とちゃう」@Pubランボー2周年7.19
わかってくれるかぁ」@先輩のアトリエ7.5
ファンは素敵だ」@大和選手さよなら打6.29
大丈夫、球場でもいこか」@神戸の広島球場6.3
すごいなぁ」 @甲子園球場5.26
日本一のZeiss」@日本一の天象儀5.15
子どもも大人も腹はへる」@御影だんじり5.35.3
あぁ満開、びわ桜」@海津大崎の桜舟4.14
桜は今日が一番ですわ」@津山城の満開桜4.5
おおきなお山が三つ」@播州三ツ山大祭4.4
すごすぎ Great 」@LJライブ4.12
Solo Guitar Tribute to the Beatles
花は咲く」@満開の梅3.11
開かれた狭き門」@ライブKobeTORROAD3.9
同じとおもうおろかさ」@春節祭2.10春節
夢で遇えたら」@そして神戸18年1.17
夢のでら特急」@リニア鉄道館1.4
男は祭りやねぇ」@妙法寺追儺式1.3新年




子どもとともに良き日に。

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