人の気があるから
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三宮のツタヤに行こうとして歩いてると、遠くから紳士がボクの顔をみつめながら歩いてきた。ニコニコしてらっしゃる、あれっ何処かでお会いしたことがある気がする、だれだろう。
近づいてこられて、腰が抜けそうになった。そのときその紳士は口に指をあてて「しっぃぃ」と、驚くなというジェスチャーをした。
人は導かれるように不自然な行動を急にとる。ボクはそのとき地下アーケード街「さんちか」で右側通
行で当たってくる人に辟易して、大多数の人の流れには逆らえないと地上にあがった。バゲットを買いに「ビゴの店」に行くのを諦めて。
そしたらなぜだか急に、あぁ小椋佳さんの新しいCD『闌』を、とおもいたってツタヤに脚が向いていたのだ。
「しっぃぃ」というジェスチャーは驚きさんなではなく、実はぷんぷんして怒り顔で歩いてたボクに「おこりないなぁ、世の中に対してあまり批判的にならん方がええよ」と諭してくださってるのだと受けとった。そして早食いだった佐本進先生に「まだ君食べてるの。食い意地がいまだに君ははってるよ」と。
「痛い歯を抜かれるみたいな顔してるで。君はすぐに顔にでるなぁ。ゆううつな顔しなさんな、不幸になるだけ。」と、歯科医師らしく地下のショットバー・ルルでなぐさめて下さったこともある。
ときどき不思議なことはおこる。自分の頭のなかに、誰かほかの人が操作している部分があって、急に方向転換してしまう、そんな時。どうしているだろう、とおもう相手とばったり出くわしたり。それはだれかの作為でとは、その時はおもわないのだが、後で考えてみるとどうしてなんだ、と。そして現実かまぼろしか、わけがわからなくなる。
障害を持った方のための機能回復プロブラムであるドーマン法というものに興味を持ち、そして日本での窓口であった佐本先生と親しくなり、グレン・ドーマン博士ともお会いさせていただいたりした。あのとき福永洋一騎手もおみえになられ、グレン・ドーマン博士と笑ってらしたのが印象に残っている。
佐本先生は「シアターポシェット」というこじんまりとした演奏会場をご自宅に持っておられた。そこでマルセ太郎さんのひとり芝居の映画演劇を見世てもいただいた。なにかが取り憑く、ってあぁこの事なんだと驚きましたと佐本先生に語ったら、それをお聴きになったマルセ太郎さんは、僕の反応を喜んでくださり、お手紙をくださった。「君は顔に反応が書いてある。よく笑うし、わかりやすい人だ」と。
人とは何なのか? どうして身体が勝手に動くのかを教えてくださった佐本進先生、グレン・ドーマン博士、マルセ太郎さんはお逢いしたいとおもってもお亡くなりなられている。でも、三宮のTUTAYAの前でお逢いしたのだ、先日。
「すてきな音楽みつけたよ」と。佐本先生はいまどんな音楽を聴いてはるんだろうか。宮本笑里さん「passion
cachee 秘めた思い」〜『emiri best』を聴きながら@KOBE 2014.3.13
わがやどの やへ山吹は一重だに 散り残らなん 春のかたみに /よみびとしらず |
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佐本先生はオリエント美術に興味をお持ちで、兵庫オリエント協会の代表幹事もされていた。オリエント美術家のJ
グラックさんとドーマン博士と共に |
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2014年7月30日 変更
243+214+207一斤染色
©Mac Fukuda1997
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