「にいちゃん、鎮西応援してくれとっぉ」そうとなりのおっちゃんからおっさんは声をかけらた。熊本や九州の人にはお世話になってますから応援しにきました、と一緒になって赤い軍団をカープのように応援した。まぁ自分のお調子もんさ加減には自分ながらあきれるが。さすがにどっち応援しようかと考えて、ユニフォームで決めましたとは言えない。
高校野球の醍醐味は、一番に誰も負けることがないということ。次に高校野球にお金はからまない。確かに私立の高校はその名をはせるために、優秀な子どもは無償で高校進学できたりする。それも、芸は身を助けるでええんとちゃうやろか、と思っている。私立の高校に通
うにはどれだけのお金が必要になるかを考えれば。
自分の高校が甲子園の舞台に立ち、そしてそれを応援する。私は高校生時代、そういう素晴らし体験をさせていただいた。だから、毎年のように甲子園に応援しにやってくる。しかも高校野球はプロのように外野席はお金をとらないフリーオープンスペースだ。時代はなんでもオープンにである。隠しては駄
目なのだ。そう言えば、最近野球で「隠し球」を見なくなった。時代とともにスタイルもかわる。
プロ球場でもむかしは5回を過ぎれば、外野席入り放題があった。夏休み5回がおわればそこに行って名物のうどんを食べながら弱い球団を応援していた。気のきいたヤジと応援団がお目当てだった。高校野球とプロの違いは、お金がいらないかいるか、つまり応援するかやじるかであった。
「にいちゃん、はたいろ悪いなぁ」そうですねぇ、でもヒットなくても勝てるのが高校野球です。プロなら逆転不可能でも、高校野球はちがいます野球はツゥーダンからです。僕の通
ってた高校では10点差でも平気でしたよ。たった2点ですよ。四球、エラー、ワイルドピッチで1点ですから。それでピッチャーでも交代してくれたら、おんのじ。もういけいけ逆転です。
「にいちゃん、前向きやなあ」日本人は遺伝子として負のイメージを求めやすいと聴いたことがあります。だから判官びいきで弱い者を応援したくなると。だけどアメリカ人とかは、とことん強いものがすばらしい、となるようですよ。叩きのめす文化とも言うようです。
おっちゃんは「これ食べてや」とみかんをくれ、地団駄踏んではる。「ごつう、おっしーなぁ」それにしても佐野日大は、地に足がついていて安心したプレーをしてる。攻められても、平気なのだ、そういう試合を戦ってきたのだろう、ねばっこい。ほんま相手次第で、かわるのが勝負なんだろうなぁ。
「あぁええ試合みせてもろたわ」そう言って、おっちゃんとおっさんは別
れた。第86回選抜高校野球大会の開会式入場行進曲AKB48「恋するフォーチュンクッキー」を聴きながら。20140323@センバツ甲子園
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