「赤星選手みられへんから、もう甲子園球場行かへん」そう言っていた息子。甲子園開幕が宿敵・巨人戦だし、それに新しくなった阪神甲子園球場へ、僕たちのレンガを観にいこうと誘った。
甲子園球場は数年がかりでリニューアルしている。その一環として外野の入り口周辺に歴代高校野球優勝校、出場高校名や阪神タイガースへの応援メッセージが入ったレンガで敷きつめられている。そのレンガひとつを私たちも買って、親父への誕生日プレゼントにした。
1924年、甲子の歳に生まれた親父は「観にいきたいけど、歩けん」と。船に乗り南方戦線に行き、魚雷で艦を枕されてサメの恐怖の中を漂流。赤十字船に助けられはしたが、アメリカ軍の総攻撃で赤十字船も沈没。戦争ではなんでもありなのだ、赤十字だって攻撃される。そして漂流、運良く中国漁船に助けられた。
「だからボクが生まれたのもたまたまさぁ。」と友人に話すとみな驚く。つい最近のことなのに。干支の組み合わせの一番目の甲子の歳に出来たからついた名前が「甲子園大運動場」。親父とおんなじ年齢なのだ。
「こんなでかい球場が、西宮に出きていたなんて知らなかった」と広島江田島で育った父。船乗りになり日本にあまり居ることもなかったが、同級生の阪神甲子園球場と阪神タイガースが大好きだ。
「おじいちゃん、観にこれたらよかったのになぁ」阪神タイガース、鉄人・金本選手ホームランで巨人に快勝。親子三代ええ一日になった。2010.4.8
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