「またコウノトリ会えるかなぁ」子どもはコウノトリに会えるのと、自分たちが作ったサカナのすみかがどうなったのか興味津々。こないだ作った竹筒のサカナの家○が、人工魚道に沈んでいる。そこにサカナたちが居ついてくれているかどうか、それで湿地に住む生き物たちを観察する。おとなでもわくわくするのだ。引き上げ作戦、実行。
場所は志賀直哉『城崎にて』で有名な城崎温泉のある豊岡市城崎町「ハチゴロウ戸島湿地」。2002年8月5日にユーラシア大陸から飛んできたコウノトリ、町の人たちはおお喜びで「8ハチ5ゴロウ」と呼んだという。ええ話しなのだ。コウノトリだって1羽づつ違うわけで、名まえだって欲しい。そしてTHEコウノトリ、ハチゴロウが自分のなかで大切な存在になっていくのだ。
窓辺で死んでいる蜂になにかを感じるように、日本人はこの世に息しているほかの動植物もおんなじ空気を吸っていると膚で感じている。だから名まえをつけてしまう。英語では合理的で便利な「a」と「the」の区別
があるが、日本語には無い。そのかわり動植物にも、自分の子と同じように名まえをつけるのだ。これは地域名称みたいなもので、便利なだけのインターネットの世界ではそぐわないものだろうなぁ。
その「ハチゴロウ」が大好きだった水たまりがあったのが戸島地区。よほど快適だったのだろう居着いてしまった潟が、ハチゴロウが死んだ後にもその姿を偲んで「ハチゴロウ湿地」と名付けられているのだからコウノトリ冥利につきるってもん。豊岡市はその周辺を買い上げて、コウノトリにも人間にも快適な湿地へと改良をかさねている。
ハチゴロウ戸島湿地の水生生物さがしに子どもたちは夢中になっている。やたらサカナに詳しい子どもが「セイゴやぁ」と叫んでる。関西で海釣りをする人なら解る言葉が「セイゴ」「ハネ」。出世魚スズキの幼少時代をそう呼ぶ。高級食材でもあるモクズガニとテナガエビがたくさん獲れている。日本海とつながる魚道があるだけで、豊かな水中生物がこの湿地では生きているのだ。
「コウノトリのハチは何食べてたんやろう」よっぽどここに好物のなにかが有ったんやろうなぁ。「ドジョウかなぁ」こんど柳川鍋でドジョウ食べてみるか?「え、人間もドジョウ食べれるん」美味しいでぇ。人間が食べても美味しいもんは、コウノトリも美味しいのとちゃうか。「それならウナギやなぁ、天然のウナギ美味しいもんなぁ」そやなぁカネボンから贈られてきたお中元の天然ウナギ美味しいかったもんなぁ。「あの竹筒で天然ウナギ獲りたかったなぁ。とうちゃんに食わせてあげるから」いやぁ、なんぼ好きやからいうてコウノトリのエサ横取りしたないなぁ。
引き上げ作戦、残念ながらウナギ捕獲できず、おしまい。2010.7.24エネオスわくわく生き物教室@ハチゴロウ戸島湿地、兵庫県豊岡市
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