「コウノトリの餌となる魚たちを増やすには、どうすれば良いか?みなさん考えてきてくれましたか?」
環境を守る、希少種となった生き物を守るためには、どうすればええか?という話しなのだが、兵庫県豊岡市がやっているコウノトリと一緒に住める環境づくりを通
して、子どもたちに自然環境の問題を考えてもらおうという催し。コウノトリを増やすには、その餌となるドジョウ、うなぎなどの小魚が必要となる。子どもたちが一生懸命考えた結果
がこれ。
「外来種をへらすとよい」「農薬をへらしてアイガモ農法」「水の汚れをへらす」「神戸で魚を育てて豊岡ではなす」「人口繁殖、稚魚の放流」「水草を増やして卵が産めるように」「どかんですみかをつくる」「木の枝ですみかをつくる」「湿原を増やす」「魚にえさをやる」「コウノトリが全部食べてしまわないようにする」「外来種が入ってこないように柵をする」「水のなかに酸素をおくる」といった数々の意見がでた。
「人工飼育するにはお金が必要になります。今年はエネオスさんから予算を頂けたから、魚の稚魚を育て放流します。そうしたらなにが起こるか?わかりすか?」「コウノトリがふえる」と子どもたち。「コウノトリが増えたとしましょう。来年も稚魚を放流してコウノトリがまた増えました。再来年、こんどはお金が無くなって稚魚が放流できませんでした。そして外来種駆除も出来なくて餌の魚がいません。そうすると、せっかく増えたコウノトリも餌がなくて死にます」と。
驚いた。餌を人間が操作すればよいという意見に、先生である兵庫県立大学自然環境科学研究所の三橋弘宗さんは子どもにもわかりやすく教えてくれる。
一度餌を人工繁殖させ急増させて、自然のリズムを壊してしまうと、それが続けられなくなった時に大きな問題が起こってくる。また、こうした養殖がどんな弊害を生んでいるかも説明してくださった。これには正直おどろいた。
「例えば、鮎の養殖を例にとりましょう。びわ湖で鮎の養殖がはじまりました、当初はよかったのですが、その鮎を餌にするカワウが餌が豊富に増えたものだから、急増しました。そしてとうとうカワウが増える数に鮎の養殖が追いつかなくなり、食べ尽くされる。養殖業者は撤退。そうすると残ったカワウは飛びますから、今度は餌を求め豊岡の円山川に飛んできてコウノトリの餌の魚を食い荒らす。またびわ湖ではこのカワウの糞公害で美しかった竹生島が、禿げ山の無惨な姿になっています」
人間は簡単に保護、養殖と短絡的に考えますが、うまく自然はまわらない。ある餌が増えれば、それを食べる生物が多くなる。増えた生物を保護ばかりしていれば、とんでもないことが起きてしまう。「とてもいい意見がありました。『コウノトリが餌の魚を全部食べてしまわないようにする』共倒れにならないために、全ての生物がバランスよく生きていける環境をつくる」どんな生き物にもある欲望、あればすべてを食べてしまう。
なんだか人間も生物の一でしかすぎなくて、やってることは同じなんだなぁと。全てがうまく回るように、環境を整えてゆく。人間だけの地球でもなければ、ある種だけのための地球でもない。子どもだけでなく大人でも、それがわかっちゃいない人は多いとおもいますよ。2010.7.10@芦屋市総合公園
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