「台風で花火観れるかなぁ。心配やぁ」そやなぁ日本海上に台風9号がおるから中止になるかもしれんなぁ。5回終了のそのときだけは雨もやみ、しめっぽい打線の試合とは逆に豪快な花火が打ちあがった。「阪神マークちゃうん」そういわれてみれば。「音スゴいなぁ」谷間にスタジアムがあるためドッカーンと響く花火音がいい。


　夏の風物詩のひとつだった「花火」。 今年の花火大会は各地で、予算不足でしめっぽくなったと人から聞いた。急になんでも中止してしまうと、それを楽しみにしていた人の淋しさは線香花火のようにぽとりと落ちてしまう。しめっぽいのはいかんなぁ。「こんな時こそどーんといけ！」というリーダーが今の時代おらんのやねぇ。


　 人は気分次第でどうにでもなるところがある。だから、ダメな時にダメだダメだと言われると、嫌になる。そんなダメ虎が好きなファンもいるけれど。ダメなときほどどでかい花火が観たいもんなのに。スカイマークスタジアムでの『虎の神戸花火ナイター』を見物に行った。

　 阪神タイガースのファンサービスとしてタイガース花火の打ち上げをはじめ数百発の花火が打ち上がった。豪快だった、あぁ今年の夏は花火大会観ずにしまいかとおもってたけれど、気が晴れた。試合も1対0で、スタンリッジ、藤川球児の投手リレーで快勝。 まーとんはこの日も打った。


　 阪神淡路大震災の後、ボクと同じ全壊で立ち上がれないでいる方とクリスマス、神戸ハーバーランドで食事した。岸壁に面 したデッキは若いカップルで華やいだ雰囲気だ。「あぁ、神戸は恋人の町だということを今のいままで忘れてた。にぎやかでええなぁ。」そう言って地震で会社も無くなった彼はつぶやいた。そのとき、冬の夜空に花火が豪快に打ちあがった。


「冬の花火はさびしいとN.S.P.が歌ってたけど、今のボクにはあったかくみえる。そうだろ、クリスマスの人々のために、だれかがこうして花火をあげてくれている。」「マッチ売りの少女みたいなボクたちを励ますためか」とボクは笑った。


　 町に行けばなにかが起こり、それでこころが癒されてた時代。あぁ、それも遠い過去になっていくのだろうか。2010.9.7記＠神戸スカイマークスタジアム