どこから観てもおじいちゃんやでぇ、と僕に言われて憤慨する自転車屋のおっちゃん。「まだお若いですよぉ」と杖を片手に黒豆食べてくつろいではるおじいちゃんに言われて喜んでいる。村の朝市で黒枝豆買って、丹南市から援助金が500円購入で100円出ますからとアンケートに答える自転車屋のおっちゃん。「でもなぁ、目のピントが合わんから、文字書くのがたいへんやわぁ」自分をおじいちゃんやと認識していない自転車屋のおっちゃん。 　


「でもねぇ、マイナスがあるから、あぁ歳とったなぁ」と思えるわけで、と黒豆のおじいちゃんに達観された。マイナスも、そう思うとまた楽し。もしかしてiPhoneスマホ目でピントがあわんのかも。


　美味しい黒豆茶と丹波黒をご馳走になりながら、「なにをしにこんな山奥に来られたの」と聴かれて、自転車に乗りに、と言うと驚いたように「あの方と一緒に自転車？」そのあの方はまだアンケートに頭掻きかき答えてる。


　そうなんですよぉ、70歳過ぎてるんですけど自転車乗って走りまわります。その後ろを僕が自転車で必死におっかけて行きます。笑。今から美山へサイクリングに行ってきます。聴いていたおじいちゃんは「わしも子どもんように自転車乗って走りまわりたいなぁ」といいながら黒豆茶をすすっていた。なんだか人生を熟成させてくれるようで、秋風がここち好し。


　自転車屋の親父さんはなぜか人を魅き寄せてしまう。ある時はパンクした自転車を、自転車屋の親父さんやと知らずに「自転車乗ってるから、詳しいと思って」と持って来られて治してと言われたり。それは選べないのだけれど。「知り合えた人は、自分よりええ人やなぁと思うんよ」と。僕もその横で、おもろい縁を楽しませていただいている。


「だいそれた望みなんかないけれど、やりたいことは次から次に出てきて困る。大事なんは好きなマグロみたいに動きつづけることと違う」とおっちゃんは笑いながら自転車で走って行った。ダム湖めぐりのぉ自転車は走るぅ〜と、山本コータローさん「岬めぐり」を唄いながら。2015.10.11＠京都南丹市