「須磨浜でサイクリングやなぁ、夏やし」
「せっかく買ったとこの自転車、砂まみれになれへん」
「べっちょない、それより気持ちええんやで。
夏はなんも考えへんのが一番やぁ〜」
少年時代、ラジオ番組に投稿してはバチョンバック、ヤンタンバックをゲットすることに人生をかけていた。それを中学校に持って行くと、可愛い女の子から「実はわたし聞いてた、おもしろかったね」と告白されたりしたのだ。その時女好きになる道もあっただろうに、ストイックな自転車野郎になってしまった。岸部シローさんのラジオ番組「オールナイトニッポン」にも自転車ネタを投稿していて、ブリヂスト製の『ロードマン』というロードレーサータイプの自転車を番組から頂いた。
当時ドロップハンドル自体が高校通学時に使用してはいけません、なんて校則があったりした。だから目立った。しかし、そんなもの女の子には今のように興味の対象ではなかった。それでもチネリの女の子のおしりのようにきれいに湾曲したハンドルをつけて、粋がっていた田中くんはかっこ良かった。自転車がだが、、、チネリのハンドルは憧れでもあった。今の時代、かわいい女の子がロードレーサーで駆け抜けるうしろ姿を見送る。そのハンドル、チネリ?うらやましくて、格好よすぎるのである。高校生のボクなら、自転車で追っかけるだろうなぁ。ええ時代になったのだ。
「自転車買うて。かっこええ自転車欲しい」とわが子に言われ、高校時代から行きつけの自転車屋さんへと出かけた。ミニベロ車がある、おもわず大人げもなく欲しくなる。かっこかわいぃのだ。「この自転車かっこええなぁ」「お前にもわかるか」だけどミニベロ、小学生にはもったいない。ちなみにベロとはおフランス語の「velocipede」のveloベロで「子供用じてこ」のことで、ちなみにじてこは関西弁で自転車のこと。しかし播州と神戸でしか通
用しない。自転車を軽蔑したような言葉「チャリ」なんて下品な言葉は自転車乗りはまちがっても使ってはいけない。
雑本自転車店のおっちゃん曰く「女のこがデザインしてるから、かっこええし、部品もちゃんとしたモノ使ってる」と言う自転車メーカー・コーダーグルーム社の、かっこよくて丈夫、ちょつとかわいい車を買った。さっそく試し乗りで、SUMAHAMAへ。神戸っこはええかっこしい、と言われるが須磨の海岸はビーチボーイズの『SUMAHAMA』なのである。海のみえる放送局、須磨のラジオ関西で流れてた。船の汽笛もいいんやねぇ、癒してくれますよ『SUMAHAMA』
人が多くて走れないかも?と思っていたが、人だらけは水族園の周辺だけで海の人出が少ない。そうだ、神戸に行こうでタダ!の須磨水族園にごちゃまんと人が居るのだ。8月16日まで神戸の王子動物園をはじめ、市の施設利用料金が無料になっているからだ。タダより安いものはない、さぁ神戸へ行こう!!!
目的地もなく自転車で突っ走り、意味もなく暑い夏に汗をかき、そしてぼけっーっと、海をみながら座っているのがいい。
相棒の自転車とともに。しかし今日のボクには、もうひとり息子という相棒がいる。あの頃のボクとおなじように自転車好きな少年が。今日は暑くて夏のいい一日だった。2009年7月18日記
追記「神戸に行こうでタダ!」 は新型インフルエンザへの過剰反応による、観光客の激減に対応して、王子動物園など神戸の観光施設を入場料金無料化したもの。
|