自分の住む町の駅から出る電車、その終点名に憧れをもった少年時代。『網干』っていったい、なんやねん？っておもてた。街の名前をPRするのに、電車の終点表示ほど、いったことはないけれどどんな街なんだと想像を無性にかきたてるものはない。

　自分の街から出る電車の行き先、それが『三宮』だったら。一宮も四宮もあるのか？とおもうだろうし、第一そこへいつかは行きたいとおもうのが人間。だから行き先表示も大切なのだ。 一本の電車で行けることの優位さはここにあるとおもう。阪神と近鉄の2私鉄がつながり、奈良から三宮まで直行80分で行けることになった。いっそのこと奈良駅に『姫路』行きとか、三宮駅に『名古屋』『伊勢志摩』行きの表示があれば、もっとそこへ行きたくなるのが人の心理というものだけれど。


　神戸に住む人間にとって、『難波』という文字は見ることがない。だから大人になっても行ったことがない人が多い、ましてや『難波』で乗り換えて『奈良』に行くなんて、、、と。第一『難波』がどこにあり、どう行くかすら知らない人も多いのだ。人の認知度なんてそんなもんである。近鉄は今回の開通 で『難波』駅を『大阪難波』駅に駅名変更までした。 鉄ちゃんである息子は、「なぁ、なぁ。開通 日に乗ろぅ、奈良まで」「奈良なんか行ってなにすんねん？」「でも乗ろ」「でん、して帰ってくるねんで」「それでもええから乗ろ」っと。三宮駅のホームに『奈良』行きと表示があるのには、感動した。それに新線の電車はなかなかかっこよかった。


「そうかぁ、この電車で奈良まで行けるのかぁ」と喜ぶ息子。これで、ますます大阪は通 過するだけでええなぁ。大阪の人はどう考えてんのやろなぁ？大阪地下鉄乗る必要性もなくなったしなぁ。大阪の街の人は「大阪が一番やぁー」と考えてはるが、神戸や京都の人にとってはどうなんやろぅ。行きたい観光地もなければ、買い物をわざわざするために行く？こともない。美術展やコンサートで、大阪でこれ！ってのがないのだから行くことも少ない。 　


「これへんでおもろい」と子どもが真弓監督のかっこええポスターのあと指さしたのが、コレ。 阪神の駅に貼られていた大阪府知事と大阪市長のポスターが、なんだか沈みゆく大阪をあらわしているようで。そうとられてしまう、悲しさ。おもろいねんけど、このセンスがわからん。もうすこし他府県から行きたいなぁとおもわせる街にして欲しいですよね、おおさか。2009年3月20日