大学時代から親身になって相談にのってくれていた先輩がいる。会社を辞める段になり、仁川の新婚の新居へとお邪魔していたのを昨日のようにおもいだす。相談に行くとまだ先輩は帰っておらず、僕はこたつでうたた寝していた。
その先輩は志半ばにしてこの世を去り、相談できる先輩がいなくなった。と言っても、なにかしらあれば三田の山奥にあるお墓にまいれば逢える。あれは秋だったよなぁ、と。クルマを走らせていると、出逢えるのが秋桜だ。「秋になったら、家の裏山で松茸狩りをしょう。松茸のすき焼きやぁ。おまえ神戸牛持ってこいょ」と先輩言っていたよなぁ。
三田の休耕田には秋桜がよく咲いている。あぁ、こんなのどかで自然豊かなところで先輩は育ったんだよなぁ、いいところだぁ。喧嘩っ早い私をいつも戒めてくれた。争いごとが大嫌いで、頭をぽりぽり掻きながら「どっちに行っても正解はない」と風見鶏のような哲学を語ってくれる。「あんたがいま正しいと思っていても、歳をとったらあぁしなくて良かったと思うかもょ」と。
進みたかった大学をもう一度受け直そうとしていた時、クラブに引き留めてくださったのも先輩だった。自分に都合があろうが、あほうな私につき合ってくれていたのだ。あの時、大学を変わっていたらどんな人生を歩んだんだろうか。「たとえ小さな一滴でも、君がおらんとまとまらへん事もあるんだょ。俺にとっては、大事なんだけどなぁ」と私を過大評価してくださった。
今でも私の自慢は、友が多いことだけれど。あの先輩のように友と向合っているのか、と問われれば。河の流れに流されてしまって、、、「大河の一滴になって流されちゃってもいいんだょ、ちゃんと生きてさえいれば」こう先輩は言うだろうなぁ。あぁ、そんなことより先輩と一緒にまた話しをしたいんだけれど。丹波の松茸のすき焼き食べながら。先輩の好きなEarl Klugh「Theme For A Rainy Day」〜『Midnight In San Juan』を聴きながら。
墓かざる 秋の草花 さはにあれども 雨露おもう こすもすの花 @KOBE
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