夜桜や  人静まれば  水の音

島根県三隅町の大平桜

 1998年お目当てのさくらの樹は、島根県の大平桜。4月5日神戸からこの桜を観に行く行く途中、広島県福山菅町の枝垂桜の満開と出会い、鵜飼いで有名な三次市で墓参り。桜とお墓、そして墓参りというのはなぜか結びつく。専法寺の墓の桜や西城川や江川の桜はもうちりはじめ。このあたりは、山深く寒いところで霧の海に町が沈む所なので、お目当てのオオビラ桜は、もう散っているのではないだろうかと、心配しながらクルマを走らせ島根県那賀郡三隅町の大平(オオビラ)桜と出会えたのは夕方。駐車場からぼちぼち歩いていくと、あたりはもう日も暮れかかり薄暗いのにそこだけはまっ白な小山が輝いている。急いで、でかいカメラを抱えてえっちらおっちらパシャパシャ。

  樹齢は推定650年程度、地上2メートルくらいで6本の大きな枝が横に広がり壮観の一言。この桜はこの土地の持ち主、大平さんがその昔馬を繋ぐために植えたと言われている桜で、現在もその子孫の方が大切に見守っている。付近の方にもたいへん愛されている桜でこの日も満開と言うこともあり、遅くまで人が絶えなかった。この桜がすごいのは岐阜の中将姫誓願桜などと同じ、この地にしか咲かない桜。日本に同じ桜が無いのだ。エドヒガンとヤマザクラが自然に愛し合ったかたちで、非常に珍しい自然交配種の桜といわれてる。


  桜といえばピンク色と思われがちだが、オオビラザクラはまっ白で開花と同時に若葉もでてくるのは、ヤマザクラと同じ。ただ奈良県吉野のヤマザクラとちがうのは吉野はうす茶葉なのだが、こちらは白青葉。翌日、再び訪れた時には昨夜からの雨で半分ほど散ってしまっていてがっくり。それでも雨の中ひっそりとたつ一本の桜の大木には、みとれてしまいまった。ここのうちのお子さんか、小雨の中を傘も差さず桜のまわりを駆けめぐっているのが印象的だった。

  みなさんも機会があればぜひ訪ねてみて欲しい私のおすすめの桜の一本だ。この年桜へつづく道を整備していたので、今度訪れるときはちがったものにも出会えるかも。三隅町は浜田市と益田市の間にあり、石見の半紙で有名なところ。何故ここに一本だけ育ったのか、この国にはほかに同じ種類のない不思議なさくら、大平桜。

*このページの製作年は1998年、データ内容は当時のものです*

推定樹 齢650年、樹高17メートル、枝張り20から30メートル、
花色は白色でこの地だけのめずらしい品種で
エドヒガン系とヤマザクラ系 の自然交配種の「おびらざくら」
1935(昭和10)年国の天然記念物に指定
撮影1998年4月5日
場所 島根県那賀郡三隅町三隅
交通 JR山陰本線三保三隅駅から
山間へタクシーで30分
クルマで浜田からルート9で益田方面へ、
入り口案内から約7キロ。
問い合わせ
三隅町役場0855-32-2801

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