子どものこえが 美しき町 たつのの桜

龍野公園の桜の周りには子供たちが集まる

 龍野といえば童謡赤とんぼの里として有名だ。今なお多くの人々に愛されている三木露風作詞の童謡「赤とんぼ」。童謡を創っていたトラピスト修道院時代にふるさと龍野の秋をしのんで書いたものと言われている。私も大好きな曲でケーナ奏者で俳優の田中健さんのケーナで演奏された「赤とんぼ」の演奏が一番好きで、クルマの中で良く聞く。実はこのクルマは、田中健さんが撮影の合間に乗せて欲しいと自分でハンドルを握られたこともある、そんな光景をこの曲を聞くたびに思いだしてしまうのだ。音楽とはそういう意味では不思議なものだ。そして旅で出会う光景と言うのも音楽と似ている。ここ龍野は揖保(いぼ)川がゆったりと流れ、小京都とも呼ばれるさまは美しく、自然が残る美しい町だ。またそれほど観光地化されているわけでもないので徒歩による散策にももってこいの良い場所だ。脇坂藩公邸跡付近には白壁の土堀があり、城下町の風情を今に残しているし、当時のようすを具体的に武家屋敷自体を資料として公開していもいる。またこの地域には醤油に揖保の糸で全国的に有名なそうめんと美味しいものも多い。

  龍野城と言っても天守閣は原生林の姿をとどめる鶏籠(けいろう)山山頂に室町時代赤松氏により築かれたが、1577(天正5)年織田信長の命による秀吉の播州征伐で開城、その後天守が破却されている。江戸時代現在の場所に平山城として築かれたが一度破却、1672(寛文12)年信州飯田から脇坂安政が5万3千石で入部し龍野城を再建したとある。しかし、一般 的に城といえばあの天守閣の建物を想像するのだが、外様大名であった脇坂氏が幕府の機嫌をそこねたらいけないと御殿式の、言ってみれば武装した邸宅のようなものを造った。今でも1979(昭和54)年に再建した本丸御殿がある。

  町の人は一目三千本と呼ぶ桜はこの城址から龍野公園の坂道を下り、赤とんぼ歌曲碑に至る童謡の小径の桜のトンネルへと続く。その中を近所の園児の声がひびく、なんとも散策していて心なごむ風景がそこかしこにある。夕焼けこやけのあかとんぼ、そうは言っても季節は春だが、それでも琴線にふれるのだ。花びらが舞い落ちる、それを追うように園児達がかけていく。夢のような光景がここでは現実として存在していた。花をめでる気持ちも、自然とのかかわり方が日常なければ、こうはいかないのだろう。こんなすてきな町に住んでいる子どもたちはなんとうらやましいことか。大切に守らなくてはいけないものを忘れてしまった人にはお勧めの桜の名所だ。道が狭く入り組んでいるせいもあり、クルマが人のスピードに近いのも散歩にはいい。子たちの間をスピードを出してクルマで走り去った他府ナンバーのクルマには興ざめしたが。こうした地域はヨーロッパの観光地のように城郭の外の専用駐車場にクルマを止めさせて、歩いて観光させるように出来ないのだろうか、といつも思う。それこそ揖保川べりに駐車させて歩かせる、それでこそ本来の龍野の良さを知ることができるような気が私はするのだけれど。

*このページの製作年は2000年、データ内容は当時のものです*

 

 


撮影は2000年4月13日
場所
兵庫県龍野市龍野町
交通
JR姫新線本竜野駅から徒歩20分
 問い合わせ先
龍野市商工観光課0791-64-3131

 

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©MAC FUKUDA All rights reserved. 2005年11月4日