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老花の ほこりに満ちし うば桜
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樹勢が衰えてさびしいウバヒガンザクラ |
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冬の厳しさに耐え貯め込んできた養分を一気に花として搾り出す。その姿は日本人にはたまらない瞬間なのだ。風に吹かれ散る花びらを雪にたとえ、厳しさとものがなしさを感じる人種は世界にそう多くは無いだろう。それもそんな話しは今はじまった事ではなく、千年以上前からこの日本に住む人々は感じていたのだ。それは誇れる事だ。ガーデニングブームで花をめでる人が急増しているが、園芸品種の草花だけでなく、自然に咲く花にも興味を持って欲しい。自然に咲く花に思いを寄せて気候や季節を知る、子どもの頃夏休みツユクサの青い花の汁で何か描いた覚えはないだろうか?夏の野草として美しいツユクサ。桜の木の周りにも、またマンションの花壇のすみなんかに咲いている。桜の木もむかしから野生種としてヤマザクラやエドヒガンがある。沖縄の寒緋桜も野生の自生種と言われている。今一般
的に桜のお花見として親しまれているソメイヨシノは、古くからある桜の品種エドヒガンとオオシマザクラをかけあわせて江戸時代末期に「吉野桜」として園芸品種として売り出した桜。今になればサギのようなネーミングですが、奈良吉野に咲くのはヤマザクラです。またエドヒガンの江戸は別
に東京地域だけに咲くからではなく、青森・北海道・沖縄をのぞく日本全国と朝鮮半島に分布している。北海道にはエドヒガンの化石が残っているので太古の頃は津軽海峡、ブラキストン線を超えて分布していたらしい。 エドヒガンの江戸が気に入らない地域の方はヒガンザクラと呼んでいる。別名アズマヒガンやウバヒガンとも言う地域もある。この「ひがしじのうば彼岸桜」もエドヒガン桜だ。エドヒガンの特徴はちいちゃなカワイイ一重の花と蕾が壺形や瓢箪形をしていること。花が可憐なのでソメイヨシノよりこっちの桜の方が好きだという人も多い。ソメイヨシノは寿命が人間程度なのだが、ヒガンザクラは樹齢千年にも及ぶ。この桜も樹齢約400年と言われているが、最近めっきり花の付きが悪くなったとか。 「1990年頃までは満開と言えばたくさんのお花見のお客さんが来られていたのに、ここのところ花が付かなくなってかわいそうな姿になって・・」と来たお客さんにお茶を無料で提供しているおばさんは話していた。確かにこれで満開なのかというくらいの花しか咲いていない。根元の近くまで駐車場用のコンクリートが張られていたのが今では元の土の状態にしてクルマは入れなくして養生している。これですこしは元気になってくれれば良いのだけれど。しかしこうして地域の人に守られている木だから、きっと少しずつ美しい花をつけるだろう。私はバカボンのパパ(植え木屋さん)に桜の根は弱いので気をつけないといけない、と聞かされたことがある。枝もむかしから「桜きるバカ、梅切らぬ バカ」と言うくらい弱いのに、それさえ知らない植木職人もいる。私の住む神戸市内の桜並木のソメイヨシノには切り刻まれた桜も多い。それを観た子どもたちはどう考えるだろうか。花が咲かなきゃ切ればいい式か。この春も市の職員がチェーンソーで桜の木を切り刻んでいった。その話しを植木屋さんにすると「植木屋も今じゃ金のためにやってるバカがいるからね」とバカボンのパパは言う。それでいいわけがないのだ、木をそんなに粗末にしてはいけないのだ。 *このページの製作年は1999年、データ内容は当時のものです* |
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撮影は1999年4月2日 場所 香川県香川郡塩江町 交通 JR予讃線高松駅から塩江・穴吹方面バスで約1時間、岩部下車とほ5分、駐車場なし 問い合わせ先 塩江町観光課087-897-0131 塩江町は讃岐の温泉町として有名で湯もすばらしい。 この桜から2キロのところに塩江温泉郷がある。 |
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