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見かぎりし都の桜咲きにけり
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京都京北町、常照皇寺の九重桜 |
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紅葉の名所として知られる高雄よりさらにはいる周山街道をさかのぼると北山杉の里になる。距離的にはそんなには無いのだが、京都からは遠く離れた感じがする。その昔は、ここまで都から来た人はとんでもない山奥にやって来たと思ったことだろう。桂川と弓削川に分かれる京北町の町中から、さらに桂川沿いに花背に向かって行くと、めずらしい枝垂れ桜が咲く地がある。常照皇寺の九重桜だ。のどかな山里にあるこのお寺には、九重桜だけでなく、御車返しの桜や左近の桜などの桜の名木が揃うことでも有名。しかし、京都の町中からの交通
の便が悪く、桜をわざわざ観に訪れるにはまるまる一日かかってしまうので、観光客はよほどの桜好きでない訪れない。 その深い森を背に建つ常照皇寺は南北朝時代、北朝の第一代天皇でわずか1年9カ月で廃位 した光厳天皇が出家して開いた天龍寺派の禅寺。広さはそれほどでもなく、どこの土地にもあるような山寺のようだ。京都の町中とちがって、華やかさもなく、それこそワビサビの世界だ。もちろんお土産物屋さんと言ったものもなく、本当に静かなところで私は好きだ。桜好きなら、一日中楽しめる場所でもある。寺の周りには、地元の人が植えたソメイヨシノの桜も多くて美しい。枝垂れ桜は開山当時からあったと伝えられている。悲運な光厳天皇が世俗を離れ最後の地として選んだ土地に咲く桜は、どこかその色もかなしく淡い紅色の枝垂れ桜だ。もちろん咲く時期も京都市中よりも遅い。私には北野の仁和寺の御室桜と同じ頃が見頃だという感じが強い。ここの桜を堪能したあと、仁和寺の御室桜を見に行くのもいいのではないだろうか。 *このページの製作年は1999年、データ内容は当時のものです* |
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撮影は1999年4月16日
品種は「ココノエザクラ」 推定樹齢600年 1938(昭和13)年国の天然記念物に指定 場所 京都府桑田郡京北町字井戸拝観9寺から16時半拝観料あり 交通 JR京都駅からJRバス周山行き1時間半終点下車、町営バス小塩行きに乗り換え約15分山国御陵前下車 問い合わせ先 京北町役場0771-52-0300 |
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