春風の 花を散らすと みる夢は
覚めても胸の 騒ぐなりけり

山梨県韮崎の王仁桜(わにざくら)

 今の時代個性化の時代だの、価値観が多様化しただのごたくを並べられて表現されているが、そうだろうか。私は全くその逆の野暮な時代、価値観の画一化の時代だと思う。表現方法もステレオタイプのものが多く、桜と言えばソメイヨシノで、なんじゃそれってな感じ。このホームページの桜の巨木に関しても「この桜は巨木なんですか」なんて質問が来たりする。巨木って、男性のあれが大きいというのと同じで、何をもってデカイというのか私にはようわからん。だから私が見て巨木だなぁと思えば、このホームページでは巨木になってしまう。なにも学術的にこの桜のホームページを開催しているわけではないので、それでいいと考えている。巨木の定義は一応あるらしい。が、だれも毎年その巨木を追調査しているわけでもなく、よーわからん。だっていまだに巨木の本などのリストにはもう現存しない樹が掲載されていたりする。それを見ては訪れてガッカリする私である。東頸城郡松之山町にあるオオケヤキなんて数年前に雷でやられて、もう切り倒された。でもいまだに文献では巨木として残っている。このホームページの桜の木にしても、いつまで命があるかはわからない、まぁ自然とはそんなもんだ。

 だからこうして残しておきたいと言う願望がわたしにはある。阪神淡路大震災であらゆるものを失った私たちとしては、そんな思いが切実に有るのだ。 かたちが素敵な桜と言うのはなかなかありそうでない。このホームページ上では、たくさんの桜の巨木を紹介しているが、そんな中でもこの木ほどの素敵な姿の木も少ない。丸っこいところが、私は大好きなだ。もう4回ほど春訪れました。

  エドヒガンの樹齢約200年ほどの巨木で、樹高12メートル、幹の周りは約3メートルある。この桜の特長は、その姿とその美しいピンク色の花。ただ1998年の春訪れたとき見つけたのだが、風か雪でやられて大きな枝が折れているのが気掛かりだ。それに、折れた枝をちゃんと手当てしているかどうかも、心配なのだ。しかし、山梨県は木を大切に守っている地域だから安心はしているのだけれど。写 真はそれ以前の撮影のものだから、いまではこの様には咲かない。

  この桜の咲く土地は韮崎(にらさき)にある。南アルプスと秩父多摩の両国立公園に囲まれた美しい土地で、そして武田氏発祥の地、今は個性的なサッカーの選手中田英寿さんの出身地と言ったほうがわかるかもしれない。彼はここ韮崎高校を卒業している。武田信玄が1541(天文10)年に再建した本殿が残る武田八幡宮は、この王仁桜(わにざくら)の直ぐ近くだ。ここからは韮崎の町が一望できる場所だ。桜のある大仁塚(おおわにずか)は、日本武尊の皇子武田王がこの地を治めた後、葬られた場所と言われれいる。塚の形が神前にかかる鰐口に似ている事から鰐塚とも言われる。韮崎の町を見守るように咲く桜は、個性的でたくましくもあり、また美しい。

*このページの製作年は1996年、データ内容は当時のものです*

 

撮影は1996年4月12日
場所
山梨県韮崎市神山町
交通
JR 中央線韮崎駅下車、タクシーで約15分
問い合わせ 先
韮崎市観光課0551-22-1111
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