さくらもりのお爺さんに見守られ
今年も元気に咲きました

                     
愛媛県小田町の世善桜
 

 桜守りと言う言葉がぴったりな人がいる。四国愛媛の山里深い上川の鶴崎武夫さんがその人。「私がこどもんころは立派な木だったのが、台風で折れてしもうて・・」その折れた枝が桜の直ぐしたにある鶴崎さんの家を直撃したとか。そうこの樹齢500年の「世善桜」が咲いているのは鶴崎さんの家の畑。今でも立派な幹が残り、北側の残った枝にきれいな花を咲かせる。四国や九州は台風の通 り道であるため、どうしても桜だけに限らず巨木は大きなだけに被害にあいやすい。特に桜は枝が一本折れただけで、そこから雨水がしみ込み木が弱っていく。

  ことわざに「桜切るバカ、梅切らぬバカ」と言うのがあるくらい、桜は枝を折られたりする事を嫌う。そのために桜守りと言う言葉が生まれ、桜を大切に守る人がいる。私たちの目を楽しませてくれる桜も、その一本一本に誰かの手が加わっているのだ。そう思いながらお花見をすると、むやみやたらにお花見の宴のあとのゴミなどその辺になげて帰らないだろう。


さくらもり鶴崎武夫(当時76才、1997年)のおかげで桜も元気。
桜の周りには菜の花も美しく咲く。
「こんな姿になった桜でも、あんたのように遠くからやって来て愛でてくれる。近くの人も今年はたくさん花が付いた、うれしいな、なんて言ってくれる。それが嬉しくてうれしくて」そう言って笑う鶴崎さん。

  「この桜の花のつき方で作柄を占っています。上に花がたくさん付いた年は稲がよく実り、下に桜の花が多く付いた年は畑がよいと言われえています。この桜の実を小鳥が食べて、その種がこの周辺にまかれ、兄弟桜のように似ている桜が多いですよ」それにしても良い名前の桜だなぁ。この辺りは昔から桜の多い地域だったそうだ。わざわざ奈良吉野から桜を取り寄せたと言う人もいる。きっと昔からこの鶴崎さんのように桜を大切にする桜守りの人が参川村(上川、中川、本川が今では小田町に合併した)には多かったのだろう。「世直し桜」とも呼ばれている。

*このページの製作年は1997年、データ内容は当時のものです*

アズマヒガン(エドヒガン)の変種、樹齢500年、根回り9メートル、
目通り幹囲6.4メートル、樹高18メートル、 花径20ミリ、
花の色は多少 紅色が濃い、
1959年県の天然記念物に指定。
撮影1997年4月2日
場所
 愛媛県上浮穴郡小田町上川
交通 
JR予讃線内子駅下車、バスにて上川へ約25キロの山あい。
   問い合わせ先
小田町役場

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