たまたまその桜に出会うと言う感激的なことがある。本当はお目当ての桜を見に行く途中にたまたま出会うのである。その中でも印象深いのがこの「別
枝庄屋跡中越家の枝垂れ桜」別名秋葉の枝垂れ桜だ。吾川村の瓢箪桜を見に行く途中で地元の方に勧められたのがはじまり。
山あいの集落をクルマで走るとオープンカーが気持ちいいくらい至る所に桜の花。運転席に花びらが舞ってくる。立派な枝垂れ桜があったのでクルマを止めた。民家の玄関先に植えられたもので、門から観るとそのお宅が隠れるほど立派な木なのだ。「立派な木ですね。こんな桜が庭先に有るなんて幸せですよね」「ここからもう少し山に入ったところに有名な枝垂れ桜が有りますよ」「え、これがその桜じゃないんですか」私はてっきりこの桜が、地元の人がぜひ観て帰ってと教えてくれた「秋葉の枝垂れ桜」と思っていた。その木を一周して別
れを告げ、第二の秋葉の枝垂れ桜を観に行った。
お天気も良くないのに、たくさんの人が観に来ている。テントが張ってあり、おでんなどの出店もある。みんな桜の花が好きなのだ、そんな中にたたずんでいると嫌なことなど忘れさせてくれる。こんもりした丘の上に建つ民家の庭先に咲く桜。このお宅は庄屋さんである中越家。中越家は佐川領主深尾公の休憩の地とされ、現当主の祖父・中越信紀氏が植栽したものだそうだ。樹齢は約160年あまり。現在も土佐三大祭りのひとつ「秋葉の練」もこの庭でおこなわれる由緒ある場所である。「秋葉の枝垂れ桜」と言う別
名もここから付いた。
塀をまたいでそのすばらしい枝を丘の下に垂らしている。僕の横を「とおらせてよね」と言っておばあちゃんが桜の花を観に丘を登っていった。小雨の中でも地域の人がひっきりなしに桜を愛でに来る、すてきな雰囲気の女性的な桜だ。
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