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  菅原道真公は学問の神様として有名なだけに、受験の際にはだれしもお世話になっているはずだ。恋人から受験のお守りにもらうのは天満宮のお守りと相場は決まっている。そして天神さまはいくつものあわい恋をみつめてきたはずだ。今でも恋人からわたされたお守りは、それだけで何だか力が湧いてくるものです、そしてそんな光景はこんなインターネットの今の世界でもおんなじなのも不思議なもんです。


  それほど誰もが知る菅原道真公、天神さまだ。901年1月出世する道真公をねたんだ時の権力者・藤原時平の策略で京都から太宰府に左遷されることに。いつの世も権力を振りかざす馬鹿者はいたという事実ですね。その馬鹿は千年以上経った今も、どこの馬の骨だか知らない私に馬鹿者と言われているのですから。都から太宰府への旅の前に自分が子どもの頃から育て愛してきた梅にむかって道真公は『東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主人(あるじ)なしとて 春な忘れそ』と詠まれ、別れを惜しんだとか。その梅が菅公が亡くなったその日に道真公を慕い太宰府まで京の都から飛んで来たと言う伝説が「飛梅伝説」。さだまさしさんの歌「飛梅」(アルバム「風見鶏」に収録1977年8月)でも、この天神さまの飛梅と春の日に天神さまで別れたふたりの物語が唄われている。大学受験のころを思い出させてくれるせつない歌。


  この飛び梅は太宰府天満宮に咲く約6000本のどの梅よりも早くつぼみを付け私たちに春を告げてくれる。この飛梅の品種は「色玉垣」と呼ばれるもので、乳白の蕾が開花すると真白になる。飛梅伝説から天満宮には梅の花がどこの天満宮にも植えられていて、1月末から花を付けて私たちの目を楽しませてくれる。下の写真が福岡太宰府天満宮に咲く「飛梅」だ。 飛び梅伝説とともに菅原道真公にまつわる「飛松伝説」もある。


  これは私の住む神戸の板宿にあるのだが、この板宿と言う地名も、菅原道真公が太宰府へ流される途中にこの地で休まれることになって、その宿を板張りで急きょ作ったので「いたやど」と言われるようになったとか。その板宿八幡神社には道真公を慕ってこの地に京都から飛んできたと言う大きな松の切り株が残されていて、この「飛松」にちなんでこの周辺の丘陵地を「飛松岡」とよんだとか。今でも「飛松町」の地名が残っている。


  私はもしかしたら「飛竹伝説」もあるんじゃあないかな、と思っている。これで松竹梅の「歳寒(さいかん)の三友」でほんにめでたい。花の少ない冬の寒い風に吹かれて漂うなんとも美味しそうな梅のにほい。その生命力が「歳寒の三友」と呼ばれるゆえん。また年中青々とした松の生命力、そして風雪に屈しない竹の生命力。それをどんな状況に置かれても屈しない、そんな友との交わりを中国や日本では「歳寒の三友」と呼んだ。苦境のなかでも友との交わりを育むことが出きる人こそ素晴らしい、それを梅や松や竹に託して。だから日本では床の間を飾る掛け軸にはこのみっつの植物がよく描かれてもいる。


 梅・Prunus Mumeはバラ科の植物で中国から奈良時代以前に日本に輸入された樹木だが、日本でも昔から珍重された。九州には野生状態の梅もあり、園芸品種は約300以上と言われている。花言葉は「高潔な心」香りがよく、みは梅干しなどになり日本の文化とは密接な関係にある花だ。「梅はその日の難逃れ」ということわざもある。花見と言う言葉にしても、今では花見イコール桜だが、その昔は梅であった。万葉集の花を取り上げた歌のなかではハギについで2番目に多い花なのだ。中国では年が明けて、新年の春節に咲く花ということで、「百花初見」とか「百花元始」と呼ぶ。梅には真白の品種と紅の品種があり、その紅白がおめでたいと紅白の梅は襖絵などに描かれた。白梅には和牡丹(やまとぼたん)東都(ひがしのみやこ)などがある。梅といえば白梅を単に「うめ」と呼び、「こうばい」と紅色の梅はよばれる。紅梅には天神梅(てんじんばい)香川(かがわ)肥前紅(ひぜんこう)楊貴妃(ようきひ)などがある。



 梅の名所は数多い。天満宮などの境内や庭園に咲く梅はその周りの雰囲気と相まって、素晴らしいところが多い。梅が山一面に咲くとなると少々趣は違う。梅干しなどの食用で栽培している地域の梅畑は急斜面 に栽培されている所が多く、観梅に出かけるのも山の急斜面を登らなくてはならない。梅はそれほどの高さの木ではないので、どうしても高台から木のてっぺんを観るといった方が美しくて私は好きだ。上の写真は播州綾部山梅林の梅。一目二千本と言われるその姿は穏やかな瀬戸内海の景観と相まって素晴らしい。ここの梅は梅酒に適した「玉英」と言う白梅が主であるが、中には紅梅も咲く。この梅園には梅だけでなく、1500年前の古墳時代の古墳群があるのもおもしろい。


  撮影は1993年2月 播州綾部山梅林 見頃は2月中旬から3月20日くらいまで 場所/兵庫県揖保郡御津町黒崎  交通/阪神電車姫路行き直通で「飾磨駅」から山陽電車に乗り換えて「網干駅」へ、観梅シーズン中は梅林行きバスで15分、クルマだと姫路バイパス中地インターから南へ国道250号線浜国道を西へ30分  入園料金/2001年データ大人500円子ども400円 お問い合わせ先/黒崎梅林組合07932-2-0375・3551(9時-5時)開花情報ハローダイヤル0792-22-8600
※初掲載1999年1月 、データは当時のものです

福岡太宰府天満宮の飛び梅

1月の花はラッパスイセン3月の花は菜の花
桜のウェッブ花見をどうぞ サクラノ咲ク美シキ國ガアッタ

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2013年8月24日 変更

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