「クリスマスイブの天使の男の子今どこに」



1996年1月 共同通信社から
全国の新聞社へ配信された記事より抜粋いたしました


 震災の直後勇気を与えてくれた、君の笑顔にもう一度会いたい。阪神大震災前の神戸でショーウインドーを純真な笑顔で見詰めていた男の子の写 真を絵はがきにして販売、被災児童の救援資金にしている写真家福田まことさんが、人々に希望を与えたこの笑顔の主を捜している。17日の一周年を過ぎても有力な情報がなく「お礼のプレゼントを渡したい」との思いは募るばかりだ。


 男の子は幼稚園児ぐらい。1994年12月24日の午後5時から2時間近く、若い女性と神戸市中央区のデパート「神戸そごう店」前で、クリスマス用に飾られたショーウインドーをのぞき込み「あの黄色い箱は僕がサンタにお願いしたプレゼントやね」などと楽しそうに話していた。 近くでイブの神戸を撮影中の福田さんは、その純真なひとみと屈託のない笑顔を思わず写 真に収めた。


 約3週間後の阪神大震災で神戸市中央区江戸町の福田さんの事務所も全壊、多くのフイルムが駄 目になった。だが、この男の子を収めたフィルムは奇跡的に被害を免れた。


 福田さんは男の子の笑顔が、市民が必死に取り戻そうとしている「平和だったころの神戸」の象徴と直感。被災者を励まそうと、南京町の春節祭、市街地の夜景など震災前の神戸を代表する美しい風景写 真とともに絵はがきを作製。販売した収益金約32万円を震災で全壊した神戸母子寮に寄付した。


 絵はがきセットは好評で、異人館などで構成する第二弾を販売開始(1996年、現在2004年版第10集まで制作)。今後も援助を続けていくという。軌道に乗った活動のお礼を考えたが、男の子の手掛かりはなし。昨年末からのマスメディアを使った呼び掛けで数々の情報が寄せられたが、別 人だった。福田さんは「被災して遠い所にいるのかもしれない。黄色い箱のクリスマスプレゼントを渡して、夢をかなえてやりたい」と話している。(1996年1月共同通 信社配信記事より)

 
神戸ボランティア絵葉書秘話

本ホームページに掲載の文章・写 真・イラストすべての
コンテンツの無断複写・転載を禁じます。

1996年1月

©Mac Fukuda