「新庄」と言えばなぜかそのチームカラーとはマッチしない阪神タイガースのスター新庄剛志選手を、だれもが想像する。花のある野球選手だ、それだけでも他者を抜きんでてるのに、威圧感がない。気性が優しい選手なのか、パッと咲いて次の試合は散々、桜のようでもある。それぐらいネームバリューがある名前なのだが、新庄の町の方はどこにあるかもあまりパッとしない。今では訪れる人も少ない。そこが良いといえばいいのだが。そのため旅情にひたるには良い。中国山地は兵庫から岡山、広島とどこもいいところがあるのに何故か観光地としてはいまひとつ人気がない。桜の名所も何ヶ所かあるのだが、どこもひっそりとしている。それに温泉が各地にある。一人旅の方にはおすすめのエリアなのだが。
　 旧出雲街道の宿場町として江戸時代繁栄したのが、ここ新庄の宿だ。場所は岡山と鳥取の境の山間部だ。美作側の出口にあたる新庄宿は参勤交代の殿様が通 った道がそのまま残る。今の道路と比べればほんの狭い道なのだが、本陣、脇本陣も残り旧宿場町の面 影を残す家々も残る。その町並みには日露戦争の戦勝記念に植えられた桜が「がいせん桜」と呼ばれ宿場道の両側に咲く。各家の前には水路が走り、ほんとに美しい町並みだ。桜自体はこの辺りの冬の厳しさゆえか、それほどの大木でもなく、かといってか細くもなく、古木でノキシノブのついたものもあり桜自体に風情がある。明治３８年１２月５日の村議会で 、日露戦勝の思い出になり、風景もよくなるし、衛生上にも役立つということで 植樹することになったらしい。 翌年には２００間の長さで３間・約６メートル間隔に植樹されたと言う。軒先でお花見が楽しめるのだから、こんなステキな場所はそうそうない。
　 春には花、夏は木陰の涼しさ、秋は紅葉、なんと羨ましい家の前か。その軒先で思ったのが人間にとってこれくらいの道幅と小川そして桜並木の自然な道が心地よいのだろう。クルマは差し違えるような感じで運転はしにくいだろうが、なんでクルマ主導の町づくりが必要なのか。本当に大切なのはクルマなのか、人間なのか。クルマ好きな私でも疑問を持つようなクルマのためだけの道路や駐車場がある。なんのために人間には足があるのだろうか？地域を観てもらうには、なにも観光名所の横すぐに駐車場があるよりは、すこしはなれたところから自分の足で歩いてもらった方が町並みも楽しめ、そして買い物もでき良いに決まっている。観光地の関係者の方々はどう思われているのだろう。足腰が弱いと桜のお花見にも苦労する、プロセスカットばかりの世の中で自分の体力をそれにより弱らせてしまったら元も子もない。
　 毎年４月２０日前後、がいせん桜の満開の頃に「さくらまつり」が開催される。この新庄周辺には武家屋敷が残る城下町・勝山町や野生の猿が多くいる神庭（かんば）の滝、そして巨大な露天風呂がある美人湯として有名な湯原温泉など旅先には困らない。
　 それにしても阪神・新庄剛志選手の凱旋はあるのだろうか。ちなみに新庄選手は福岡県出身。地名としての新庄は山形県にお米の美味しい新庄市がある。
　2000年12月11日アメリカ大リーグニューヨークメッツへ入団の大ニュースが。12日の朝刊各紙も一面 トップでニュースを報道。金満球団のOBさんやらは「どうせどこに行っても通 用せん」なんてほざいていたが、やはり人を見る目のある人は違いますね。優勝なんかよりも、大リーグに行けてしまうんですよ。大リーグで大活躍してもらって「日本金満球団の大リーグボール！？敬遠ボールをヒットにした男」としてアメリカのファンをも魅了して欲しいですよね。男としては金より夢、これじゃないと。

*このページの製作年は2000年、データ内容は当時のものです*