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真冬にも花をつける不思議な桜、不断桜の名木
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三重鈴鹿市の白子、子安観音の不断桜 |
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桜には一番よく知られているソメイヨシノ、その姿が美しい枝垂れ桜、昔から有名で巨木になるエドヒガン桜、ぼんぼりのような里桜などの品種のほかに、摩訶不思議な桜がある。あまり一般
には知られていないが、一年中咲く桜なのである。どこかのテレビ局のヤラセのマガイモノ桜ではない。1年中枝のどこかに花を本当につけている桜なのである。1818年からの文政年間時代にもすでに珍しい名木として書物に紹介されているのが、ここ鈴鹿市にある安産の守護観音として信仰を集めている白子(しろこ)の子安観音寺の境内にある不断桜だ。白子は伊勢型紙の産地としても知られるが、その模様はこの不断桜の虫食いの葉を見て思いついたと言われている。伊勢型紙はゆかた、友禅、小紋などの柄や文様を着物の生地に染めるのに使う室町時代からの伝統工芸用具だ。地元白子本町には型紙資料館がある。 |
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私は何度か鈴鹿サーキットに仕事で撮影に行った際に、このお寺さんを覗いてみたのだが、確かに桜の咲く時期でない秋にも花を見たのだ。おもしろいのは、秋に普通
の桜の木なら落葉樹だから全ての葉を落下させて、次の世代を待つのだが、この木は冬の最中も青々した葉の一部が枝に残る。そして冬にも花をつける。多分私が思うに、この葉が全て落ちきらないと言うところに、花がいつも咲く秘密があるようだ。同じような話を、2000年1月に訪れた今帰仁城址の寒緋桜を観に伺った際に、管理事務所の石川さんに聞いた。「沖縄は台風が多いので、風の強い台風が夏すぎすぐに来ると、寒緋桜や桃の葉は全て落とされてしまいます。だけど強い木はところどころ葉が落ちないでいる。すると、珍しいことに秋になっても葉が落ちず、何とまた花を咲かせるのです。1年に2度咲くのですよ」と。それによって、2000年の開花が同じ地に咲くのにまばらになり遅れかげんであるとも教えてくれた。
落葉樹であるのに葉が秋になっても堕ちないで冬にも残る。そのことで、その葉の残った枝には、栄養がふんだんに運ばれて花がつき、花を咲かせる。この寺のご住職さんの話では、冬にたくさんの花をつけてまるで満開の桜の花見のような時があったのです、と写 真を見せてくださった。確かに満開の桜の木のようなのだ。皆さんの考える桜のお花見とはいかないが、何時行っても木に一重の可憐な花を咲かせてくれていて、それを捜すのもステキなお花見だと思う。 不断桜の原木として国の天然記念物に指定されている。冬の花は花の命が短く、春と秋の花は長い。京都秋の紅葉で有名な大原の実光院の秋の不断桜もすばらしい。また鈴鹿市には「石薬師の蒲桜 」という珍しい桜もある。 *このページの製作年は1997年、データ内容は当時のものです* |
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クルマ好きなら知らぬ人はいない鈴鹿サーキット。 この写真はS字カーブでワークス相手に個人参加で 果敢に攻める岡本くんと言うドライバーを取材した ときのもの。結果は2着。意外と知られていないがサーキット内 にいい温泉が湧いていて日帰り入浴もできる。 |
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