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門をくぐった彼女たちは、
たちまち夕空にひろがっている
紅の雲を仰ぎ見ると、 皆が一様に「あー」と、感歎の声を放った 「細雪」谷崎潤一郎 |
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京都平安神宮の枝垂れ桜 |
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なぜこれほどまでにソメイヨシノが大切にされたのか。「華の都」と言われるように古都京都にはたくさんの桜が咲いていた。一方遷都された江戸には桜の木が少なく、それでなんとかしようと言うこととなった。当時江戸の植木職人がたくさん住んでいたと言われる染井(そめい)村で江戸にあう桜の品種改良がおこなわれ、活着率が高く若木でも直ぐに花を咲かせる「ソメイヨシノ」が開発された。これが一挙に首都江戸を飾るようになり、それが全国に波及した。なんだか、今の地方都市のミニ東京化と同じ様にも言えるソメイヨシノ化なのだ。そんななかでも、ソメイヨシノ化しなかった地方都市がある。それが京都なのだ。江戸の真似はしませんよ、そんな心があったから、他とは違うといまだに人に憧れられ、観光客が訪れる。そのことを他の都市や町も気がつけば、旅したくなるいい町が出来たと思うのに。京都の「府の花」は枝垂れ桜だ。ちなみに江戸・東京はソメイヨシノが「都の花」だ。同じ都で、同じようにその地域の代表の花が桜。でも、ちがう。 枝垂れ桜は植物学上はアズマヒガン・エドヒガンと呼ばれる桜で枝が枝垂れるものが枝垂れ桜と呼ばれている。なぜ枝が枝垂れるかだが、枝の成長が早すぎて花の重さにその枝がついていかず枝垂れてしまうのだそうだ。これは個体差で、たまたま枝の成長が早いから枝垂れ桜になったのだ。エドヒガンと同じ白い色の糸桜と呼ばれる枝垂れ桜と紅色が濃い紅枝垂れ桜、その八重咲きの紅八重枝垂れ桜がある。色がピンク色で豪華絢爛なので、園芸品種としても人気が高く庭の桜として植えている人もおおい。その枝垂れ桜が美しいのが平安神宮。平安神宮は1895(明治28)年に創建された。枝垂れ桜はその背後の約1万坪の池泉回遊式庭園にある。茶亭や橋殿を配した庭園は、それは優雅で美しく、春はこれに桜の共演がくわわる。 豪華絢爛すぎて好きではないと言う人と、これが京都らしくて良いと言う人と意見が分かれるのもおもしろい。一度あなたの目で確かめてみて欲しい。水面 に花影を映した枝垂れ桜の妖艶さは、さぁ、あなたを魅了するか・・ *このページの製作年は1999年、データ内容は当時のものです* |
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撮影は1999年4月8日 場所 京都市左京区岡崎西天王町97拝観8時半から17時半600円 交通 京都市バス京都会館美術館前からすぐ 問い合わせ先 平安神宮 075-761-0221 |
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