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長野高遠のタカトウコヒガン桜

 城址に桜の花はぴったりとくる。どこの城にも桜が植えてある。しかし、私は平城より山城の方が好きだ。兵庫の竹田城址や沖縄の今帰仁城址、そしてここ高遠が気にいっている。ここ高遠は明治維新まで高遠藩内藤氏3万3千石の本拠地として700年栄え、上伊那地方の中心地であった。そのため今も昔の面 影を残す古い家並みがある。この町を散策するのは非常に楽しい。そんな町の東、三峰川と藤沢川にえぐり取られたかのような断崖絶壁に高遠城はある。城址からは西に高遠の町なみ越しに伊那盆地、高くそびえる中央アルプスの連山が一望できる。背景には南アルプスの美しい仙丈岳を臨む。タカトオコヒガンの桜が咲く頃は山は雪でまだ覆われており絶景だ。

  高遠のコヒガン桜として有名だが、コヒガン桜は木がちいさく、花もちいさい。ここ高遠の桜は木も大きく、花のサイズも大きい。そのことから現在は「コヒガン」とは別 物と考えられ、「タカトオコヒガン」と呼ばれている。1875(明治8)年頃から植えられた桜の木は現在で1500本以上、桜霞か雪桜の残雪か、と想わせるような風情がある。ここはバスツアーなどのお客さんも多く、桜のシーズンは混みあうが、城址に入ってしまえばそんなこと気にも成らない。どこのお城もそうだが、城の大きさにはいつも驚かされる。だからツアーのお客さんが居たほうが、人の気配がしてお花見気分が盛り上がる。そんな中、町の子供連れの人たちが散歩してる。城はその性格上、隠れた場所がある。カップルはそこへうまい具合に人目をさけ、お花見をふたりで楽しんでいる。バスツアーのおばさん達は桜めぐりに飽きたのか出店の団子をほお張りながら、やはり花より団子なのだ。城内には出店もある。

 あちらこちらで、酒の宴の笑い声が絶えない、あぁ春だなぁ、そんな気分にさせてくれる。人込み嫌だと言う人は、城を遠くから眺めればよい、ひっそりと花見もできる。そのあとたかとほの町に行けば、子供が駆け、風情のある喫茶店もある。一日ゆったりと過したい町なのだ。遠くのまちでお花見をじっくり楽しみたい、それも色々なかたちで、そんな方にはぜひおすすめの場所である。私も乳飲み子が大きくなったら、また訪れてみたい。本当にいいところだ。

*このページの製作年は1999年、データ内容は当時のものです*


撮影は1999年4月21日
開花情報2000年4月22日8分咲き
場所 
長野県上伊那郡高遠町 
交通
 JR飯田線伊那市駅からJRバス高遠方面行きで約25分 
問い合わせ先
高遠町観光協会0265-94-2551
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©MAC FUKUDA All rights reserved. 2005年11月4日