せめてだに山の嵐の吹き荒れて
わが病む窓に桜ふらせよ 前田純孝 |
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兵庫湯村温泉の泰雲寺枝垂れ桜 |
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枝垂れ桜の女性的な美しさに魅せられて、20代の頃は枝垂れ桜ばかりを追いかけていたのです。しかし枝垂れ桜の情報はなかなか無いことに気が付きました。それは枝垂れ桜は、よほどのことがないかぎり、そこであまり「お花見」をしないからだと言うことを発見しました。ヤマザクラの巨木などは地元の方は良く知っておられるのに、意外と大きな枝垂れ桜の在りかはご存じありません。この「泰雲寺の枝垂れ桜」は、クルマで走っていて偶然見つけたものです。私は以前、豊岡にある大学の仕事をしているとき、仕事の翌日は北近畿、鳥取のあちこちを撮影して回りました。もちろん地元の学生や教職員の方に色々な見どころを教えていただいて撮影に回っていたのです。鳥取からの帰り、うっすらと雪が積もっているかのように見えるところがあったのです。それがこの桜です。樹齢200年ほどのそんなに巨木でもなく、細すぎもせず姿が美しい、ほんに美形の芸者さんのようです。花の色もきつすぎもせず、ほんのり紅色と言った表現のぴったりな桜です。 吉永小百合さんの「夢千代の日記」で、有名になった湯村温泉のすぐ近くにある泰雲寺(たいうんじ)の境内にある桜です。日本海側のこの地方は風が強く、桜のお花見も強い風との兼ね合いになるのだけれど、自然の厳しい地方にもこんな立派な桜があるのかと、一目見たときは感動しました。ところで夢千代日記で脚光をあびた西の啄木と言われた前田純孝、彼はこの桜を知っていたのだろうか。ドラマでの前田純孝役の松田優作さんの演技を思いだしたり、あぁ自分の病気と前田純孝の姿をだぶらせて演技していたのだろうか、などと考えながら。松田優作さんも桜がすきだったのか、役者の桜金造さんの「桜」は彼が名付け親らしい。 *このページの製作年は1996年、データ内容は当時のものです* |
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撮影1990年4月中旬
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