なごり雪さえ降る山に 積もりて美し枝垂れ雪

八ケ岳の残雪も美しい山梨県小淵沢町の神田桜

 枝垂れ桜はお酒をもってのお花見と言うよりも、そう好きな人に会いに行くという風情で楽しみたい桜。そんな思いにぴったりなのが「神田桜」。南アルプスや八ケ岳の残雪を臨みながらのお花会いとなる。それも花満面 とのご対面ともなると、これがなかなか難しい。特に山あいに咲く桜は、その土地特有の風やそして冷え込みに左右される。また、枝垂れ桜はヤマザクラやソメイヨシノと違い咲く時期が一般 的に早い。3月中旬から同じ山梨県の身延山の枝垂れ桜などは咲きだし3月下旬には満開になる。桜前線(これはあくまでもソメイヨシノを主とした桜前線、ヤマザクラやシダレザクラは咲く時期がその木によってまちまちです)と言う十把一絡げ式のこの時桜が開花します宣言の弊害で、4月上旬が桜の見頃と勘違いされる方も多いが、本当はその土地の桜ごとで咲く時期は違う。

  うどんの汁と同じで、関東の黒い土と関西の白い土とは土壌の質も違う。そのために同じ花でも色が違ってきたりする。なんでも一緒なわけが無いのだ。グルメなんてのもあやしい。関西の薄味が関東の人の口にすべて合うわけがないのに、誰でもどこでも何でも美味しい、そう伝える。なわけが無い。こんな風に東京中心に物事を考えるやり方はもうそろそろお終いにしたほうがと思ってしまう。インターネットの世の中なんだから、味ひとつとっても各地域の考え方が発信され理解されていくべきだとおもう。東京や大阪では全国、いや全世界のものが食べられるらしい。しかし、それは私の目には本物には思えないのだ。それをその地域の雰囲気とともに味わいたから、人は旅をするのだ。

 この神田桜には春だけでなく何度となく会いに行っているのだが、満開の姿と出会ったのはつい最近のこと。やっとの思いで出会っただけに、感激もひとしお。ここは残雪の南アルプスと八ケ岳に囲まれ、それらの山々だけを観ていても美しく絵になるのに、こうしてぽっんと美し桜が残る。しかもしなやかな枝ぶりの枝垂れ桜なのだ。写 真を撮ると言うより一日かけてゆっくり絵を描きたくなる。この日は一日桜を観ていた。

*このページの製作年は1999年、データ内容は当時のものです*
エドヒガンの変種、根回り8メートル、目通 り幹囲6.4メートル、
花径20ミリ、花の色は紅色が濃い
1959年県の天然記念物に指定。
撮影は1999年4月20日
場所 
山梨県北巨摩郡小淵沢町松向1904番地の2
交通
JR中央線小淵沢駅下車、タクシーで約4キロ。
問い合わせ小淵沢役場0551-36-2111
「桜ノ咲ク美シキ國ガアッタ」 桜一覧データ次の桜へ

本ホームページに掲載の文章・画像・写 真等には著作権があります。
すべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。
©MAC FUKUDA All rights reserved. 2005年11月4日