春の小川は さらさら流る。 岸のすみれや れんげの花に、
匂いめでたく 色うつくしく 咲けよ咲けよと ささやく如く。
春の小川は さらさら流る。 蝦(えび)やめだかや 小鮒(こぶな)の群に、
今日も一日 ひなたに出(い)でて 遊べ遊べと ささやく如く。
春の小川は さらさら流る。 歌の上手よ いとしき子ども、 声をそろえて 小川の歌を
歌え歌えと ささやく如く・・
童謡「春の小川」高野辰之作詞・岡野貞一作曲/文部省唱歌は、なんと渋谷で生まれた歌という。そんな小川が渋谷にも、そう古くはない時代にあったわけだ。想像はつかないけれど。
春になるとこの歌を思い出すが、今では小川も護岸工事でセメント塗で小川なんて風情はない。護岸工事のおかげでたんなるドブに変わる。水害のための護岸工事らしいが、ホントにそのおかげで水害は無くなったのだろうか?そして人々の役に立ったのだろうか。たんに一部の人の利益にしかならなかったのではないのだろうか。そう議員さんとよばれる人たちの。だから子どもなんかも寄りつかない。もちろん歌にあるような岸のスミレやれんげの花なんて想像の世界でしかないのだ。実際のところ、今ではこの小川は埋め立てられてないそうだが。私の住んでいた神戸は六甲山があるおかげで山に登れば小川があり、サワガニがいた。生田区、今の中央区、市街地のほんのはずれでのはなしだ。私が生まれる数十年前に神戸では大水害が起こり、町は今回の阪神淡路大震災のように壊滅状態になったと親に教えられた。そのために今でも川の付け替えなどの工事が進むが、そのたびに町は水浸しになる。不思議な話ではある。
仕事で石和(いさわ)温泉を訪ねたとき、この歌のようなステキな小川に出会った。その記憶は今でも鮮明に覚えている。朝早く、旅館を出て散歩に出かけた。水の流れる方へと足を進ませると、出て来たのは桜並木とその中をながれる小川の光景だった。川岸には菜の花が咲き、朝のひかりで輝いて見える。よく観るとスミレの花も咲いている。そうか、春の小川はこんな光景だったんだ。急いで旅館に戻り写
真機材を担いで、この場所へと戻ったのは言うまでもない。小川の堤に咲くソメイヨシノ桜はそこそこ太い幹で立派な枝ぶりのものばかり。確かに温泉地にはソメイヨシノ桜はつき物なのだが、それにしてもまわりの演出と思いちがえるばかりの雰囲気がいいのだ。この光景もいつのまにか変わらなければ良いのだけれど。
石和(いさわ)温泉は首都圏に近いためにお客さんも多いらしくにぎわっている。温泉地としての規模も大きく、いまでは山梨県下最大規模の温泉郷。歴史は新しくて1961年1月、石和のぶどう園から高温の湯が湧き、付近の川に流れ出して誕生した「青空温泉」がはじまり。それが有名になり、以来、石和は温泉観光地として発展したそうだ。泉質はアルカリ性単純泉で、神経痛や打ち身、慢性消化器病、冷え性などに効能があり、湯につかると、肌がすべすべになるのが特徴。
*このページの製作年は2000年、データ内容は当時のものです*
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