花のうたとてよみ侍りける 西行

山奥深い里に毅然と咲く枝垂れ桜

 サクラと呼ぶ花は正確には存在しないのですが、このサクラという名前の由来については諸説があります。「木花開耶姫・このはなさくやひめ」のさくやがサクラに転じた説「古事記」の記載ではサクラの語源は「開栄・さきはえ」でさきほこると言う説「咲く」という言葉にらがついたと言う説「咲麗・さきうら」がサクラに転じた説「さきくにさくらん、ほきくにさくらん」という神話時代の歌からきたという説など諸説ある。たしかにサクラとは良い名前だ。

  桜をめでることは万葉集(770年ごろ編纂)の時代からあり40首にもおよぶうたがある。今から1230年前の話しだから桜と言っても、ソメイヨシノの桜ではなく野生の山桜などの桜だったのだろう。しかし、もしかするととんでもない桜が咲いていた可能性だってあるわけだ。今では絶滅したけれど。サクラの木一本とってもおもしろいから、私はこれにかこつけて旅をする。嫁さんはこれにだけは文句も言えない。

  桜の木は「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」や「桜折る馬鹿柿折らぬ馬鹿」と言われるように折れたりするとそこから腐ったり弱くなり樹勢がなくなる。だから大木などは台風や風雪の厳しい地域ではどこかしら傷んでいる。それが原因で今には残っていない桜もあるのだろう。人が大切にしてやれば桜に限らず、どんな木も元気になると思う。そのことを思うと寺院にあるような桜は周りの人間からも大切にされやすいからしあわせな気がする「幸せの木」なのだ。ここの桜はかたちが変わっていて綺麗だった。枝垂れ桜はどうしても女性のイメージがあるのだが、細身のすらっとした美人なのである。「いしだあゆみさんみたいな感じの綺麗な桜ですね」とお寺の人に言ったら「みなさんべっぴんさんと呼んでくれます」と笑っていた。

*このページの製作年は1996年、データ内容は当時のものです*

 

 

撮影は1996年4月18日
場所
奈良県宇陀郡室生村四ケ谷西谷
 交通
近鉄大阪線三本松駅から南へ約3キロ
 問い合わせ先
万行寺07459-2-2115

 

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©MAC FUKUDA All rights reserved. 2006年4月17日

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